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火曜日, 2月 02, 2010

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まめに料理、「家庭欲しい」…同居男性が見た木嶋容疑者
2月2日(火) 4時51分配信 朝日新聞

 埼玉県で練炭自殺を装って大出嘉之さん(当時41)が殺害された事件で、県警に殺人容疑で逮捕された木嶋佳苗容疑者(35)が、事件から1カ月余り後に別の男性と同居を始めていた。結婚を持ちかけられ、言われるがままに金を渡していたこの男性が、木嶋容疑者との出会いや暮らしを振り返った。  千葉県野田市の男性(46)がインターネットの結婚相手紹介サイトで木嶋容疑者と知り合ったのは昨年9月初めだった。プロフィルの欄には特技「料理」、好きな男性「年上の人」「気が合えば、電撃結婚したい」とあった。  メールを送ると、約2週間後に返信があった。紹介されたインターネットのブログ名は「かなえキッチン」。手作り料理の画像や話題があふれていた。「すてきなホームページですね。私は結婚を真剣に考えています」。そう送ると、「私も真剣です。携帯電話の番号を教えます」と返ってきた。結婚を焦っていた男性は心が躍った。  9月中旬、初めて自宅に招かれた。東京・JR池袋駅前のマンション最上階。14階の2LDKの部屋で、ノーメークにTシャツ姿で出迎えられた。もらった名刺の肩書には「キッチン主宰」と印字されていた。  目を見つめられながら、切り出されたのは借金の話だった。  「困っているんです。困っているんです……」「お菓子教室ができなくなって、マンションの違約金や調理器具代、食材費などの借金があります」  部屋の立ち退きが迫っているとも話した。「住むところがないので支援してくれませんか」。そんなに困っているのか。承諾すると、「迷惑をかけてすみません」と礼を言われた。  まず、借金の肩代わりとして、蓄えの約250万円を相手の口座に振り込み、引っ越し代として10万円も渡した。  9月19日、男性が住む戸建ての自宅に迎え入れた。とにかく小まめで器用だった。毎朝、必ず先に起きて朝食を作った。パスタやから揚げ、豚のショウガ焼き――。メニューも多彩で、手際もいい。グラスの氷が溶けると、すぐに気づいて足してくれた。  「早く子どもがほしい。家庭を築きたい」。キッチンのカウンター越しに何度も言われた。「仕事を見つけて家計簿をつけるわ。生活が安定したら結婚しましょうね」  運び込まれた家財道具の中には、段ボール1箱分の調味料、大型の発泡スチロール2箱分の食材もあった。料理教室の話は本当だったんだ、と信じた。  だが、金銭感覚には不安を感じた。家財道具は70万円のベッド、1本千円のハンガー……。前年に中古のベンツを購入し、数カ月後には、より上級の車種へ乗り換えていた。温泉やゴルフ旅行ざんまい、3カ月で授業料70万円の料理教室にも通っていた。  「殺人事件に巻き込まれたみたい」。交際相手だった大出さんの死についても明かされた。自分が警察に疑われ、事情聴取を受けていることも。それを聞いても、まじめで性格の良い女性だという印象は変わらなかった。「私が預かるわ」と言われ、生活費として約200万円を託したのはその後だった。  埼玉県警が9月25日、詐欺容疑で木嶋容疑者を逮捕し、同居生活は1週間で終わった。長野県の50代の男性に結婚話を持ちかけ、授業料名目で130万円をだまし取った容疑だった。  数日後、自宅の天井にあるはずの火災警報器7個がすべてなくなっていることに気づいた。男性は「今思えばぞっとする」と話した。

[写真] 木嶋容疑者のブログ「かなえキッチン」。高級食材にこだわった手料理、外食やエステ、旅行などの体験をつづっていた
最終更新:2月2日(火) 4時51分


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